健康食品とは?
健康食品とは、保健機能食品(特定保健用食品や栄養機能食品)、サプリメントなどを総称して、健康食品と呼んでいます。厚生労働省によれば、健康食品とは、健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。健康食品の現状ってどうなの?
健康食品は、医薬品などと違い副作用を心配する人は少ないようです。健康食品なら安心だと安易に考える人が多いためか、ちょっと健康に不安がある人や、からだに良いからと、気軽にサプリメントなどに頼る人が多くなってきています。健康食品を含め、多種多様な食品が流通する現在、消費者がその食品の特性を十分理解し、自分の健康と食生活の状況に応じた食品を選択することがきわめて重要です。
病院で治療を受けながら、病気が少しでもよくなることを期待して、健康食品を使っている人は多い。1905年厚生労働省研究班の調査によると、がん患者の約45%が健康食品を利用していたそうです。健康食品の内容では、アガリスクが約6割で一番多く、次いでプロポリスが約3割となっています。しかし、最近の研究では、健康に役立つと言われながら、実はそうではなかった事例も多く出てきています。
過大な期待を持たすような宣伝文句が原因で、販売業者やそれに関わった著者である偉い先生方も含め、薬事法違反で摘発されたことがあり、健康食品(特にアガリクスは有名)は一時、下火になったことがありましたが、現在は、何事もなかったかのように利用している方も少なくありません。
厚労働研究班が作成した「がんの補完代替医療ガイドブック(第2版)」によれば、米国立医学図書館のデータベースでの調査結果、「健康食品の摂取によって、がん患者の免疫機能が活性化されたり、がんに伴う症状や抗がん剤の副作用が軽減されたりする効果を検討した結果、その有効性は一部では認められたが、健康食品の摂取だけで、がんが縮小したとか、生存率が高くなったということを証明した臨床試験はなかった」ということです。
このように、現段階において健康食品やサプリメントによって、がん治療に「効果がある」ことを証明する科学的根拠(エビデンス)は一切ないということです。 このようなことから、健康食品やサプリメントに過大な期待をすべきではないのです。特に、病院で行う治療まで拒否して、これらの健康食品だけで治そうとすることは絶対に避けるべきです。
健康食品はどう選べばいいの?
がん患者の中には、健康食品の治療効果はよく分からないが、とりあえず飲んでおいたほうが体に良さそうだと思っている人が少なくないと思います。それも、「がんに効くから」、「がんが消えた!」など良い話ばかり、役立つと言われながら、実はそうではなかった事例は、表には出難いだけに問題なのです。
がんの治療や予防に効くと言われる、多くの健康食品情報から、より信頼性の高い安心して利用できるものかどうかを評価するために、東北大学公共政策大学院 坪野吉孝教授が作成した「健康情報を評価するフローチャート」が役立ちます。ここでは、その概要を紹介します。 なお、フローチャート右の「あなたの判断」(赤文字&矢印)は、本サイト側で付け加えたものです。

訳あり!健康食品とは?
がんの患者に利用されている健康食品で、本当にがんの進行抑制、症状軽減や完全治癒といった効果が期待できるかどうか疑問を持つ人は多いと思います。現状では、多くの臨床試験や研究から見ても、科学的根拠が無い限り、「効果はわからない」と言うのが正しい見解です。
2001年の厚生労働省研究班の調査では、がん患者3100人のうち、約45%が補完代替医療を使用し、抗がん剤などの効果を下げてしまう恐れのあるものもあるが、使用者の6割が医師に相談していなかった。と、言うことです。
また、同研究班が2005年に発表した調査では、補完代替医療を利用し始めたきっかけについて、がん患者の約8割が「家族や友人からのすすめ」であったそうです。健康食品をすすめる側も、親切心がかえって相手を困らせることもありますので、下記のような事例など参考に十分な配慮が必要です。
(1)アガリクスで重篤な障害!
健康食品やサプリメントを飲用すると、抗がん剤やホルモン剤の効果を打ち消したり、思わぬ影響を与えたりする可能性が指摘されています。 そのため、がん治療中の患者は、かならず主治医に相談することが大切です。
アガリクスでは、これまでに深刻な肝機能障害を起こした事例が3例報告されています。これほどの重篤な障害が出ることは稀ですが、気になる症状が出たときは、早く主治医に知らせて適正な対応が必要です。これらの商品は、価格的にも決して安いとはいえません。宣伝文句に惑わされることなく、その副作用、有効性や安全性について十分理解した上で利用しましょう。
(2)βカロテンのサプリメントは効果がない!
βカロテンのサプリメント(野菜から摂るβカロテンではない)は、当初はがんの予防に役立つと言われていましたが、精度の高い研究が行われるようになって、かえって有害であることが判明しています。
βカロテンは、活性酸素の働きを抑えることで、がんを予防する効果があると考えられてきました。そこで、食品から摂るだけでなく、サプリメントとしてβカロテンを多量に摂取したら、予防効果はさらに良くなると考えられ、βカロテンのサプリメントを使った臨床試験が行われました。その結果、がんを予防する効果はないと出たばかりか、喫煙者では逆に肺がんの罹患率が多くなるという結果さえ出たといいます。
(3)サプリメントを利用していると、死亡率が高まる?!
デンマークのある研究者グループが、最近発表した情報によれば、サプリメントを飲まない人に比べて、サプリメントを飲んだ人の総死亡率が高くなったといいます。βカロテンのサプリメントでは、総死亡率が7%、ビタミンAで16%、ビタミンEで4%高くなっています。これは、全体の死亡率が増えるという結果ですから、非常に大きな影響があるといえます。
これまで、さまざまな研究が行われていたサプリメントでも、より精度の高い、しかも、大規模な研究が行われることで、それまでの見解や常識が逆転することがありますので、このようなことが起き得ることを頭に入れて、健康食品への理解を一段と深めておくことが大切になります。