食道がん! 60代前後で増加中!
食道がんが見つかった人は、厚生省によると、'97年に約11,000人で、胃がんの約9分の1です。しかし、死亡数は、9,599人で胃がんの約5分の1と、死亡率は高くなっています。男性が女性の約5〜6倍、食道がんに罹っています。年齢的には、40歳代後半から、男性は急激に増加しており、60歳前後で特に多い病気です。食道がんは、喫煙との関係が深い癌のひとつですから、食道がんの予防のためには、禁煙が第一です。
食道の構造と働き
食道は、長さ約25cmの管状の臓器で上部は咽頭、下部は噴門をへて胃につながっています。管状の断面は、2cm×1cmのちょうど楕円形をしており、食物が通るときだけ大きく広がる仕組みになっていますので、食べないときは塞がっています。この食道を液体は、0.5〜1.5秒、固形物は6〜7秒で通過しています。食道は、同じ太さの管状ではなく、入口、気管支と交差しているところ、それに横隔膜を貫いているところの3ヶ所がくひれたように細くなっています。食道がんのできたりするところです。

(画像をクリックすると拡大表示します。)
口から、のどを通ってきた食物が食道に入ると、輪状筋が前後左右に、縦走筋が上下に、同時に伸縮することによって、蠕動(ぜんどう)を起こし、食物を先へ先へと送ります。この蠕動は、自律神経によって行われています。
胃への入口には、括約筋があり、普段はこの筋肉が縮んで噴門を閉じています。これは、食物が食道へ逆流しないようにするためです。食物が食道の末端までくると、その刺激によって括約筋がゆるみ、噴門が開いて、食物を胃の中へと送り込みます。
食道がん(食道癌)とは
食道がんは、、のどの下から、胃の入り口までの間のどこかにできるものですが、食道がんになる約8割は、胸部の食道に発症しています。特に、50歳代、60歳代の男性に多い癌です。長年にわたって酒や、タバコを好んでいたり、また、辛いものを良く食べる人に多くみられると言われています。食道がんは、進行は早く、周囲の臓器やリンパ節への転移も起こります。食道がん(食道癌)の発症率はがん全体からみれば、それほど罹患率の多い癌ではありません。